独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで

軽い食事をしていくつもりだったので、少しなら時間があるのが幸いした。

何度か利用したことのある昔ながらの喫茶店に入り、美帆に話を聞くことにする。



彼女は瀬尾と関係を持っていてと告白した。

どうやって知り合ったのか疑問だったが、美帆の会社の営業部と瀬尾の関係者の間で合コンのようなものがあったらしい。

美帆は人数合わせで頼まれて参加したが、そこで知り合った瀬尾に積極的にアプローチされて、付き合うようになったそうだ。

本人曰く瀬尾にはまってしまい、彼の言いなりになっていた。だから晴臣に近付くよう頼まれて、嫌でも断れなかったのだとか。

とは言え、騙すような真似に罪悪感はあり、瀬尾に何度もやめるように説得したとのこと。

その度に、晴臣はばれても怒ったりしないし、大丈夫と宥められたそうだ。

「瀬尾の目的はきいているか?」

「いいえ。ただ神谷さんは仕事ばかりだからたまには息抜きしたほうがいいんだと言ってました。奥様とも政略結婚で冷めきった関係だと聞いていました」

「それは間違っている。もしそうでなくても君の行動は迷惑でしかない。瀬尾が悪いのは確かだが、君だって本気で嫌だと思ったなら拒否することは出来たはずだ」

晴臣が冷たく言うと、美帆は悔しそうに唇をかんだ。
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