独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
朝、目覚めると夫の腕の中に居た。

(晴臣さん寝てる間も抱きしめてくれたんだ)

瑠衣は身じろぎして彼に更に身体を寄せた。

昨夜の晴臣は触れ合わなかった時間を埋めるかのように執拗だった。

朝方まで瑠衣を離さないで、唇が腫れてしまうんじゃないかってくらい何度もキスをして。

夫を受け入れるのは久しぶりだから心配な面もあったけれど、それは杞憂で瑠衣の体は喜んで彼を迎え入れた。

彼の動きに恥ずかしいくらい反応して、何度も達する程愛して貰った。

(でも一番幸せだと感じたのは、晴臣さんと抱き合ってるとき……嬉しくて泣きそうになったもの)

愛する人と肌を重ねるのがこれほど心地よいものとは。心に積もった寂しさと悲しみが癒えていくのを感じた。

温もりが心に染みて、自分はずっとこの瞬間を求めていたのだと思った。
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