夢見るだけじゃ終われない 〜恋と令嬢とカクテルと〜

 ――ちゃんと恋することができてよかったな。

 恋もキスもセックスも。
 はじめては全部、悠に捧げた。

 これが最初で最後の恋だ。それでもうじゅうぶん。

 悠も身体を起こして向かい合う。

「茉莉、愛してる」
「私も悠を……愛してる」

 自然に唇が重なると、ゆっくり身体を横たえられた。
 指を絡め、互いの舌を絡めながら快感を高めていく。

 悠の指先が腰のラインを辿って下半身に触れる。

「あっ……」
「気持ちいい?」
「気持ち……いい」

 処女を失ったばかりだというのにこんなに感じてしまっていいのだろうか。

 ――ううん、構わない。

 だって私たちには時間が無いのだ。

 明日の朝、私は結婚相手の待つ日本へと帰るのだから……
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