クールな自称保護者様も燃える恋情は消せないようです



必要最低限の家具。そして筋トレグッツ。

病院を出て一時間後、私が訪れた部屋は、そんないかにも男らしい部屋だった。
ここが、お兄ちゃんの部屋……。

あの連絡は、お母さんからだった。
ボヤ騒ぎをお兄ちゃんから聞いたのだろう。しこたま叱られた。

『わかった、わかったって、以後気を付けます!』
『だからあんたを一人暮らしさせるのは心配だったのよ! まったく――』

と説教が続いた後で、

『それで、部屋はどうなるの?』
『それは…』
『管理会社からなにか言われなかったの?』

う……。

『どうせ退去を迫られたんじゃないの?』

母は鋭い。
床や壁は保険で改修できたけれども、オーナーからは退居を命じられてしまっていたのだ。
せめてもの情けで一カ月の猶予を得たけれども、改修は一週間はかかるそうだし、残りの三週間の間に部屋探しと引越しの手配をしなければならない……。
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