交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
咄嗟に離れようとした彼女を引き寄せ、デッキの手すり近くに立った。
茉莉花の体が強張っているのがわかる。男慣れしていないのか、それとも吉鷹をまだ警戒しているのか。
船はゆっくりと航行を続け、羽田空港が見えてきた。建物の明かりや誘導灯の光が美しい色を放つ。夜の空に向かって飛び立つ飛行機が爽快だ。
「このクルーズ船、ハート型の航路を描いているらしい」
「ハート型?」
茉莉花が目を丸くする。
「入籍したばかりの俺たちにぴったりだろ」
「吉鷹さんって意外とロマンティストなんですね」
「〝意外と〟は余計だ」
「そうですよね、ごめんなさい」
ふふっと笑って謝る茉莉花と不意に目が合う。すぐに逸らすだろうと思った彼女は、なぜか吉鷹を見つめたまま。わずかに揺れる瞳の隅に、飛び立つ飛行機が映り込んだ。
――触れたい。
突如として沸き上がった感情の赴くまま彼女の肩を引き寄せ、もう片方の手を頬に添える。そのまま一気に唇を塞いだ。