交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

想像の遥か先、いや思いもつかないことを彼女が口にする。


「社長就任式はもう少し先だし、世間にお披露目するには間に合うでしょう? 伏見さんを大変な目に遭わせちゃったけど、もう安心して。私が吉鷹さんの妻になります」
「ちょ、ちょっとお待ちください。例の方はどうされたんですか?」
「私が好きだった人?」


過去形の言い様が、茉莉花に嫌な兆しを抱かせる。


「お別れしたの」


信じられない返答だった。政略結婚とはいえ、土壇場で吉鷹との結婚から逃れるほどに愛する人ではなかったのか。参列者や多くの人を残し、彼の待つ日本に帰国したのはなんだったのか。


「そしたら急に吉鷹さんのことが気になって。婚約期間中はあまりフィアンセらしく過ごさなかったけど、今思い返せばそんなに悪い人じゃなかったのかも。ほら、恋は盲目って言うでしょう?」


言葉を失くしている茉莉花に、結愛が人差し指を立ててにっこり笑う。
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