交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「……ですが、荒牧さんの行動も決して正気の沙汰ではないかと」
一瞬怯んだが、思っているままを返した。
式直前で逃げ出すなんて前代未聞。映画や小説ではないのだから。
それに手を貸した茉莉花にも責任の一端はあるが。
「そうね、その通りだわ。伏見さんには逃がしてもらったうえ、花嫁の代役なんてさせてごめんなさい」
結愛が自分の非を認めて頭を下げる。ハワイでは思いきった行動に出たが、素直な一面もあるようだ。
「彼には体面を保つために妻が必要だったんだものね」
まさしくその通り。吉鷹が茉莉花に結婚を迫った理由はそこにある。――あくまでも最初は。
でも今は……。
まだなんの変化もない自分のお腹にそっと手をあてる。ここには彼との愛の結晶が宿っている。
「伏見さん、その役、私が交代するわ」
「……はい?」