交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
離婚しろと暗に示され、憤りが胸いっぱいに広がっていく。
「もしかしてお金が目当て? そうよね。観月建設の御曹司が夫だったら一生お金に困らないでしょうし。それなら心配いらない。私が手切れ金をお支払いします。だから、ね? お願い伏見さん、吉鷹さんを私に返して」
人の気持ちをなにひとつ考えず、結愛が勝手に話を進める。彼女は神頼みでもするかのごとく顔の前で両手を合わせ、上目遣いで茉莉花を見た。
今思えば、彼女はハワイでも自分都合だった。直前になって破談にするなどエゴ以外のなにものでもない。
あのときは吉鷹ひとりを悪者にしてしまったが、結愛にも問題があったのだ。
ハワイで彼女に同情した自分が、ひどく愚かに思えた。
「お金はいりません。私は吉鷹さんとは離婚もしません」
きっぱり宣言する。彼とは絶対に離れない。
意図せず結愛と睨み合う格好になる。大きな目の彼女に強く見つめられて怯みそうになったが、お腹に手をあて堪える。
軽く息を吐き、視線を先に逸らしたのは結愛のほうだった。