交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
くすくす笑った結愛の肩が小刻みに揺れる。
嫌味に聞こえるのは、茉莉花が彼女に対していい印象を持っていないからだろう。
「私がお父様に頼み込めば、小さな設計事務所を潰すのなんて造作もないことだと思わない?」
あまりにも横暴な彼女に言葉を失くす。
「……どうしてそこまでして?」
一度は逃げた結婚に、どうして突然しがみつくのか。
「前もお話ししたじゃない。あのときはほかに好きな人がいたから吉鷹さんとの結婚は考えられなかったけど、その人と別れたら吉鷹さんの良さがわかったって。家柄はつり合うし、肩書きも容姿も文句ない人なんて、そうそういるものじゃないから」
あっちがダメならこっちにするなんて節操がなさ過ぎる。変わり身が早いというのか、多情というのか。言葉が見つからない。
「……吉鷹さんは、政略結婚は必要ないと言っていました」
「それはそのときの話。今後、ビッグプロジェクトが控えていると聞いているわ。ベトナムで一大事業を立ち上げたところよね?」