交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
精神的なダメージは、妊娠中の体にはもっとも良くないものだと思い知る。茉莉花は、白いカーテンが揺れる無機質な病室のベッドに横たわっていた。
あの後、マネジャーの菊川が車を飛ばして神楽総合病院まで送り届けてくれた。打ち合わせの予定がない美春も付き添ってくれ、今も甲斐甲斐しく世話を焼いてくれている。
「はぁ、ほんっとに何事もなくてよかった」
ベッドサイドに椅子を引っ張り、美春が大きく息を吐き出しながら腰を下ろす。
赤ちゃんにはなんの異常もなかったが、貧血がひどく血圧も不安定だったため、茉莉花は一泊の入院を余儀なくされた。
「心配させてごめんね。菊川マネジャーにもあとでよろしく伝えてもらってもいいかな」
「それはもちろんいいんだけど、旦那様には本当に知らせないの?」
「出張中だし、知らせてもすぐにここへは来られないから」
帰国は社長就任式の前日の予定だ。ギリギリまでハノイでやり切ってくると言っていた彼を邪魔したくない。
当初は身重の茉莉花を置いていけないと吉鷹も渋っていたが、その背中を押したのはほかでもなく自分。それなのにちょっとしたことで呼び戻すわけにはいかない。