交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

ジョークなのか本気なのか、彼の場合まったくわからない。茉莉花はもう役目を十分果たしたはずだ。彼の花嫁の代役などという、とんでもない役目を。


「聞こえているか?」
「聞こえていますが、冗談はおやめください」
「冗談じゃない。俺は本気で言っている。結婚しよう」


なんて軽い人なのだろう。
目を真ん丸にして見つめ返した。

頭の中はいったいどうなっているのかと余計な心配をしてしまう。もしかしたらネジが何本か抜けているのではないか。

茉莉花は花嫁の代役はしたが、もともと彼らカップルのブライダルヘアメイクアーティスト。それ以上でも以下でもない。それだけなのだ。


「お断りさせていただきます。私の家庭はごく普通の一般家庭ですし、観月建設にとって有益でもなんでもありませんから」
「その心配なら必要ない。うちは今さら政略結婚なんて必要としない会社だ」
「では、なぜ荒牧様と?」


政略的な繋がりが必要ないのなら、彼女との縁談は持ち上がらないはずだ。
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