交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
およそ二十分後、車がパーキングに止められた。
街の喧騒から少しばかり離れたビルに入る吉鷹を追っていく。どうやらこの地下に目的のレストランはあるようだ。
先に数段降りた彼が、ふと振り返る。すっと手が出された。
「暗いから」
(……手を繋ぐっていうの?)
足を止めて目を丸くしていると、吉鷹が「ほら、手」とさらにぐっと突き出す。
やはりそうらしい。でも階段には控えめとはいえ照明があり、彼が言うほど暗くはない。
「大丈夫で――ひゃっ!」
「それじゃ近づけないだろ。これはステップ2」
有無を言わさず手を掴まれた。反動でよろけ、階段でトトンとリズム感のない足踏みをしたせいで――。
「っと」
吉鷹に軽く抱えられてしまった。心ではなく体との距離がゼロになり、意図せず鼓動が乱れる。