クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

ストーカー現る

「紗理奈ちゃん?」
不意に後ろから声をかけられて紗奈は反射的に振り返る。

「紗理奈ちゃんだよね?
お店でよく君の事指名してたんだけど、急に居なくなっちゃって寂しかったんだよ。」

ニコニコ笑顔で近づいてきたのはスーツを着た中年サラリーマン風の男で、ラウンジで働いていた頃に良く来てくれたお客様だった。

確か家がお店の近くだって言っていたような…。

「こんばんは。お久しぶりです。お元気でしたか?」

紗奈は当たり障り無い会話をしようと心掛けながら軽く会釈する。

「紗理奈ちゃんは今から帰るところ?
実は何度か見かけたんだけど、今日は1人?」

今日は1人⁉︎って事は要さんと一緒の所を何処かで見られてたって事?

「はい。…学校帰りなんです。」
さすがの紗奈もちょっと警戒して一歩後退する。

「もし、良かったら夕飯一緒にどう?」

えっ…。どうしよう。
なんで断れば…冷や汗を掻きながら上手く断らないとと焦る。

「すいません。この後用事があって急いでるんです。」
紗奈は早く電車が来てくれないかと心の中で祈る。

「えぇー。
せっかく会えたのにいいじゃんちょっとぐらい。お店の時だって同伴出来なかったんだから。」
ラウンジには同伴なんてルールは無い。
同伴って何?紗奈の頭の中ははてなマークが浮かぶ。

不意に腕を握られ紗奈はパニックになる。

男は和かに喋っているが、やたら強引な感じが怖い。

要さん助けて…誰か…!
頭の中で警戒音が鳴り始めて何か旨い対処法は無いかと考えを巡らす。

「本当に無理なんです。すいません。」
紗奈は泣きそうになりながらも、腕を離して欲しくて抵抗する。
男は掴んだ腕に力を込め離さない。それどころか引っ張って何処に紗奈を連れて行こうとする。
「とりあえず、駅出ようよ。」
ズルズル引きずられるように並んだ列から離されて、改札口に向かう階段まで連れて来られる。
「離して下さい!」
紗奈は必死になって腕を振り解こうとする。

「何してるんですか⁉︎
彼女、嫌がってるじゃないですか?」
突然、後ろから低い声がして腕を掴んでいる男が一瞬怯み力を緩める。
その隙に紗奈は腕を引き抜き、男から距離を取る。

「いや、知り合いなんですよ。い、一緒に御飯食べに行こうって話してただけです。」
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