クールな御曹司の溺愛ペット【続編完結しました】

「ところで、どうだった、出張は。一成くんと進展あり?」

「げっほっ!」

「なるほど、進展ありね」

ニヨニヨと楽し気に笑いながら時東さんは知った顔でお茶をすする。
私は慌ててお茶で漬物を流し込み、息を整える。

「や、えと、その、……はい、ありがとうございます」

「どっちから告白したの?」

「ええっ!」

「いいじゃない、減るもんじゃなし。出張許可出したの私なんですからね、報告はいるわよねぇ?」

ニヤリといやらしい笑みを称えながら妙な威圧感を出してくる時東さん。
そのプレッシャーは半端なく、すぐに負けてしまう。

早々に観念した私は、実は過去にフラれてなかったこと、一成さんが待っててくれたことをかいつまんで話した。

「ふうん、一成くんって意外と誠実なのね。見直したわ。ていうかお互い一途なのね。羨ましい」

「一途……。一成さんって今まで彼女がいたことなかったんですか?」

「うーん、どうだったかしら?」

時東さんの歯切れが悪く、急に心配になった。

京都のときはデートプランがとんでもなく上手かったし、キスだって上手い、気がする。
実は経験豊富……とか?
歴代の秘書さんたちにも迫られまくっていたくらいだし、誰かと何かあってもおかしくない。

「ねえ、心配になるのはわかるけどさ、一成くんももう二十七なのよ。逆に経験ない方が心配じゃない?」

「はい……」

経験、が何を意味するのか。
不埒なことを考えて頬に熱が集まってきた。

そうだよね、私だってもう二十歳超えてるんだし、経験したって問題ないわよね。
京都のときは流れに身を任せてみたけど、キスやハグ止まりで。
もしかしてあるかも、と思ったけど実は何もなかった。
いや、いろんなところを触られたり撫でられたりしたけど、うん、そこまでで。

ん……もしかして何もない方がおかしいのかな?
お互い大人だし。
恋人なんだし、いつかは一成さんと……。
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