クールな御曹司の溺愛ペット【続編完結しました】
あらぬ想像をしていると不意にガチャリと扉が開く。
「……お前たち、副社長室を休憩室として使うな」
戻ってきた一成さんが、副社長室を我が物顔で使う私たちを見て呆れた声を出す。
私はそれより、さっきまでの不埒な考えを追い払うのに必死だ。
「いいじゃない、別に。今日は珍しく来客もないし仕事も逼迫してないから問題ないでしょ」
「えっと、一成さんもお茶飲みますか?」
「ああ、いただこうか」
一成さんは躊躇いもなく私の隣に腰を下ろした。
妙に距離が近くて緊張する。
時東さんが不満そうな視線で一成さんを見やり、大きなため息をついた。
「ちょっと、女子会の邪魔しないでくれる?」
「お前こそ、千咲を独占しすぎだ」
「やだ、嫉妬かしら。大人げない」
時東さんは一成さんと反対側の私の隣にどかっと座ると、ぐいっと肩を引いて抱きしめてきた。
「そりゃあ片山さん、可愛いものね。うふふ。でもダメよ、社内ではわきまえて頂戴」
「と、時東さんっ」
「何を言っているんだ、当たり前だろう」
時東さんの挑発にクールに対応する一成さんは何でもないようにお茶をすすった。
だけど二人の間に火花が見えるのは気のせいだろうか?