クールな御曹司の溺愛ペット【続編完結しました】
その状況を理解するとみるみる体温が上昇する。

「うまいな」

静かに、それでいてクールに呟く一成さんからは恥じらいの「は」の字すら感じられなくて、動揺しているのは自分だけなのかと余計にドキドキしてしまう。

「……塚本屋のスイーツはどれも美味しいです」

「開発部門の努力の賜物だな」

そう言って、一成さんは目を細めた。
その姿が妙にかっこよくて、またしても心臓がドクンと大きく波打つ。

仕事に誇りを持ち、正当に評価する、その働く姿勢は頼もしくて立派だ。この言葉を開発部門の人が聞いたら、喜ぶに違いない。

私も一成さんに評価してもらえるように頑張って働かなくては。

これからの仕事に一層精を出そうと決意し、美味しそうなロールケーキにフォークを刺す。

「あ……」

そうだった。さっきこのフォークで一成さんはわらび餅を食べたんだった。

い、いいのかな?
同じフォークで。
ていうか、一成さんこそ、私が使ったフォークでよかったの?
そういうの、気にしないタイプ、とか?

「どうかしたか?」

「いえ……」

「食べさせてやろうか?」

「なっ、じっ、自分でできますっ」

一成さんが変なことを言うから、無駄に緊張しながらそのフォークでロールケーキを口に運ぶ。

抹茶の渋さとクリームの甘さが絶妙に相まってほっぺたが落ちそうになった。
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