クールな御曹司の溺愛ペット【続編完結しました】
言いづらそうにしながらも、 お姉ちゃんはゆっくりと口を開く。

「うちのお父さんとお母さんって、すぐに人と比較するでしょう？そのせいで千咲が傷ついてるのを、私はいつも見て見ぬふりしてきた」

「……」

ドキリと心臓が脈打つ。
確かに両親は、何かにつけてお姉ちゃんと比較してきた。
お姉ちゃんはできるのに、とか、お姉ちゃんを見習いなさい、とか。
その度に私は自分の無力さを思い知る。

確かにお姉ちゃんは、できるのだ。
両親の目からだけでない、妹の私から見てもお姉ちゃんはできる人だった。

「私はお姉ちゃんを恨んだことなんてないよ。だってお母さんの言うことは本当だもん。お姉ちゃんはすごいと思う」

「でも千咲は傷ついていたでしょう？」

「……うーん、まあ、ちょっとは」

「私は千咲がそうやって言われることで、親からの嘲りを回避していたの。だから、優しいなんてことはない、浅ましい女なの」

ごめんね、と瞳に涙を潤ませながら懺悔をするお姉ちゃんに、私はただただ困惑した。

だってやっぱり私はお姉ちゃんから嫌な思いはさせられてないし、お姉ちゃんは私の目標とする人だったから。

だから逆にお姉ちゃんがそんな風に私のことを想ってくれていたことが嬉しいと感じる。

「お姉ちゃんは私の目標なんだ。いつも先を行くから、私は追いつこうって必死になってる。だから、……ありがとう」

「千咲……」

いよいよぐずぐずと泣き始めるお姉ちゃんは、それでもやっぱり綺麗で、思わず私も感極まって目元が潤んだ。

お姉ちゃんはできるのに、と言う言葉は私の胸だけをグサグサと刺しているのだと思っていたけど、比較対象にされていたお姉ちゃんをも傷つけていたらしい。

私もお姉ちゃんみたいに頭がよくて器量もよければ、こんなことにはならなかったのかな？
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