【完結】私の夫は、絶賛不倫中

「私たち……もうおしまいだね」

「柚衣……本当にごめん」

「謝らないでよ！……謝られても、もう遅いよ」

　私は翼にも裏切られて、繭子にも裏切られていた。　その事実を知って、私は許せる訳がない。
　信じていた二人からの裏切りの代償は、大きい。どうやっても許すことは出来ない。

「私たち、離婚しよう」

「……え？」

「あなたとはもうやっていけない。……だから離婚しよう」

　【離婚】なんて言葉、言いたくなかった。……絶対に言いたくなんてなかったのに。
　私たちはこれからも夫婦でいれると、そう信じていたのに。　なのに私は、地獄のどん底へと落とされた。
　
　不倫なんて誰が幸せになれるのだろう。そんなのは、誰かが不幸になるだけだ。
　私もそう、翼もそう、繭子もそう。……みんな不倫のせい。不倫がいけないんだ、全部全部。

「離婚……」

「……裏切られた私の気持ちなんて、あなたには分からないでしょ？　私が裏切られてこんなに悲しくて、こんなに辛いのに……。あなたにはそんな私の気持ちなんて、分かる訳ないよ」

「柚衣……」　

　繭子のこともそう、本当の親友だって信じてた。信じてたのに……。
　だから私はもう、誰も信じない。