黒い龍は小さな華を溺愛する。

「チッ」と舌打ちが聞こえ、隣を見ると相羽くんの表情が明らかに曇っていた。


イラついてるような……。

こんな顔は今まで一度も見たことがない。


ざわついていたから、相羽くんにだけ聞こえるように言った。


「あの……相羽くん、あとで話が……」


「話?じゃ、放課後でいいよな?」


冷めたようにそう言うと、さっさと行ってしまった。


信じられない、昨日の出来事がまるでなかったような態度だ。


相羽くんが指示してやったことなの……?


「おい宇崎と常盤!今すぐ進路相談室に来なさい!」


突然学年主任の先生が現れ、そう叫ぶ。


さっきまでいなかったのに誰かが呼んだんだろう。


先生の態度からして怒っているようだ。


この騒ぎの原因が私だからか……。


でも常盤くんは関係ないのに……。


チラッと常盤くんの方を見るとだるそうに先生の後をついて行ったので、私も慌てて追いかけた。


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