黒い龍は小さな華を溺愛する。
進路相談室に入ると椅子に座るよう促された。
常盤くんは私の方を一度も見ずに、気だるそうに椅子に座ったので私も一つ席を挟んで座った。
私は背が152cmと小さい方だからだいたいの人が私より背が高いけど、常盤くんはきっと普通の人よりも大きいと思う。
喧嘩が強いって噂だもんね、こんな体格なら誰にも負けなさそう……。
近いから顔は見れないけど、膝に置いてある手が見えて驚いた。
手の甲に無数の傷あとがある……。
私はそれを見てどきどきしていた。
やっぱり噂は本当なのかもしれない。
「お前らなぁ、朝から問題起こすなよー」
「すみません……」
「宇崎はどうした?騒ぎの主役になるタイプではなかっただろ?」
先生がゆっくりと目の前の椅子に座りながら言う。
「それは……」
「俺もまさかとは思ったが、他の生徒たちはお前が原因だというんだよ」