黒い龍は小さな華を溺愛する。

「見張りのヤツ数人は見逃してやった。あいつら怯えてたし」


「へぇ!そんなことするなんて、丸くなったね常盤くん!」


「うるせぇ」


そう言って、笑ってる紫藤くんの頭を小突く常盤くん。


「沙羅ちゃんと話したいだろ、あっちに見晴し良いとこあったから行って来いよ」


顎で少し離れた方を示す。


常盤くんが私の方をチラッと見て、「行くか」と誘ってくれた。


背中を押されるようにして向かった先は、街の夜景が遠くに広がっていて、本当に綺麗だった。


「……すごく綺麗」


「ああ。てかその上着なに?」


常盤くんが指さしたのは、紫藤くんが肩に掛けてくれた上着。


「あ……さっき紫藤くんが掛けてくれて」


「あいつのかよ」


少しイラついた口調でそう呟いた。


「常盤くん……怪我してないの?」


常盤くんの上着には血が沢山ついてるけど……きっと常盤くんのものではなさそう。


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