黒い龍は小さな華を溺愛する。


ここから飛び降りたら……簡単に死ねるのかな。


そしたらもうこんな苦しい思いなんてしなくてすむんだ。


あの裸の写真で脅されることも、いじめられることもない。


母だってもっと楽に生活できるはず。


私がいなくなってもこの世の中は普通に回るんだ。


それなら私の死など、どうでもいいことだ。


歩道橋の柵に手をかけて身を乗り出してみる。


結構な高さで一瞬身震いしたが、すぐ楽になれると思うと怖くなかった。


あ……でも


私をひいた車の人がかわいそうだ。



きっと死ぬまでトラウマになってしまう。


死ぬなら迷惑かからない違う方法で……。


と思い、引き返そうとした瞬間だった。





私にとって一生忘れられない出来事が起きる。





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