黒い龍は小さな華を溺愛する。

〝上靴は中庭の池の中。ちゃんと履いてこいよ?じゃないとあの画像ばら撒く〟


嘘……、池って。


私は急いで中庭に行って池の中を覗いた。

苔が生えた汚い池の中に、上靴が沈んでいる。

私の上靴だよね……。

どうしてこんなひどい事するの……?

腕をまくり思い切って手を突っ込み、上靴をとった。

上靴は汚い池の水でぐっしょり濡れている。

こんなの履けるわけがない。


コンッ!


その時近くに小石が飛んできた。

飛んできた方向を見ると、2階の窓に人がいた。


相羽くん!?


私と目が合うと笑っていた。

そして、ジェスチャーで〝履け〟と言っているのがわかった。


履きたくない。

でも履かないときっとあの画像が……。


こんな時どうすればいいの?


常盤くん……。


相羽くんの方を睨むと、クラスの人たちが何人かこちらを見て笑っている。


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