私の想いが開花するとき。

 ピコン、ピコンと連続でスマホの音が鳴り、里穂はハッと我に返り宏太から勢い良く離れた。スマホにきたメッセージをみると健治からだ。今から帰る、お腹空いた、と。
 なんだか笑いそうになった。健治からきたラインが嬉しくてじゃない。タイミングがいいんだか悪いんだか、こんなにも燃え上がるような気持ちをライン一つで掻き消されたような気分だ。宏太の想いが湧き出したままでも、もう結婚してしまった自分には宏太の胸に飛び込む資格はない。そのことに釘を打たれたかのように健治からタイミングよくラインがくるなんて。
 人生とはタイミングで、恋愛もタイミングだ。そういえば誰かがこんなこと言ってたようなきがする。テレビだったかもしれない。とにかく今の自分にその言葉がピッタリすぎて乾いた笑いが出た。


「ごめん宏太、私先に帰るね」
「里穂――」


 里穂は宏太の言葉を聞くまいと急いで荷物を持ち会社を飛び出した。聞いたら戻れなくなる。そう女の本能が感じたから。



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