俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
ものすごく驚いたけれど、うれしかった。

心細くてたまらなかったから、光一さんの手のぬくもりにとても安心したのだ。

「光一さんは『すぐによくなるよ。僕が治してあげるね』って、私の頭を撫でてくれました。そうしたら本当にしんどいのが和らいで……」

光一さんのことが好きになったのだ。

話を聞いた隆成さんは、なぜか硬直している。

私がいきなり初恋の思い出を語り出したからだろうか。

「それが兄さんを好きになったきっかけなのか?」

「はい」

うなずくと、彼が口ごもった。

なにかおかしなことを言ってしまっただろうか。

「嘘だろ? 頭がクラクラしてきた」

「えっ、大丈夫ですか?」

いきなり天を仰いだ隆成さんに、私は慌てふためいた。

「それは兄さんではなく、俺だ」

「え?」

「風邪をひいている千里の部屋に入ったのは俺」

丁寧に言い直され、私は椅子から飛び上がりそうになる。

「ええっ、嘘!」

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