2×9がジャガ
第一章 継続は大変なり

一人暮らし①

料理、洗濯、掃除。

この三つに休日があったとしても継続は大変なり。

僕は今年高校を卒業して大学生になった。

家を出て一人暮らしを始めた。

住むところなんて実家であれ一人暮らしであれ、正直どちらでも良かった。

卒業前に両親からリビングに呼び出された。

学費は出すから後のことは自分でやってみてもいいと思うが。

父がそういうと母は無理に出て行けと言ってるわけじゃないのよと付け足した。

僕もアルバイトをする予定ではあったし、いずれは親の元を離れる。

学校の先生からも同じことを言われた。

「卒業後は一人暮らしするの?あなた自分のことは自分できる?」

学力と生活力が比例するとは思えない、と言いかけたが僕のことを見てきた先生からするとそう言われてもしょうがない。

一人暮らしをすることになったら、暇な時は家事でもしにきてください。

彼女は真剣な顔で、まずその考え方を変えなきなきゃねと言った。

卒業式の日、彼女は落ち着いたら学校へ遊びに来てねといい別れた。

僕は4月から一人暮らしを始めることとなった。

調理器具や家電は家で使っていないものや僕が使っていたもの、リサイクルショップなどで揃えた。

当時僕は彼女がいた。

由香という一つ年上の彼女だ。

彼女は僕と同じ都内の大学に通っており芸術を専攻している。

初めて僕の部屋へ遊びに来た時、最低限の物しか揃えていない部屋を見てきょとんとした表情を浮かべていた。

それもそうだ。

彼女の部屋は有名な画家の絵や作品が飾られているのに対し、僕の部屋はそういったものがない。

僕は極力無駄なものや使わない物は置きたくないタイプなのだ。

ゴミの分別だって僕にしてみれば、四つめの家事になる。

母親はこれを何年もしてきたと思うと、文句を言いたくなる気持ちもわかる。

ましてや共働きだ。

両親は仲が良かったということもあり、家事は母親に任せっきりということはなかった。
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