恋人らしいこと、しよ?
「未来のことなんか分からないから、俺だってずっと同じ気持ちでいられるかは分かんねぇ。でも、もしそのときまだ気持ちを忘れていなかったら……」
「……うん」
「そのときこそ、美穂の唇貰うから」
「……うん」
未確定な未来の話。
例え同じ気持ちだったとしても、すんなりことが運ぶかどうかも分からない。
でも、未確定だからこそ希望にもなる。
今はその希望を信じて、別れの寂しさに蓋をした。
晴樹はもう一度ギューッとわたしを抱きしめてから、名残惜し気に腕を離す。
離れて出来たわたしと晴樹の間に、冬のものではない風が吹いた気がした。
「じゃあ、いつか来る未来を信じて……今はお別れだ」
「うん……」
未来を信じるなら、さよならは言わない。
だからわたしは、代わりの言葉を笑顔で紡ぐ。
「晴樹……行ってらっしゃい!」
「っ! ああ!」
晴樹は寂し気な色を残しつつも、力強い笑みをわたしに向けて「行ってきます!」と答えてくれた。
去って行く晴樹の背中が見えなくなってから、わたしは静かに涙をこぼす。
未来を信じても、やっぱり別れは辛いから……。
でも、心の中に冬の風はもう吹いてはいない。
晴樹が灯らせてくれた希望の光が、これから来る春の日差しのように思えた。
END
「……うん」
「そのときこそ、美穂の唇貰うから」
「……うん」
未確定な未来の話。
例え同じ気持ちだったとしても、すんなりことが運ぶかどうかも分からない。
でも、未確定だからこそ希望にもなる。
今はその希望を信じて、別れの寂しさに蓋をした。
晴樹はもう一度ギューッとわたしを抱きしめてから、名残惜し気に腕を離す。
離れて出来たわたしと晴樹の間に、冬のものではない風が吹いた気がした。
「じゃあ、いつか来る未来を信じて……今はお別れだ」
「うん……」
未来を信じるなら、さよならは言わない。
だからわたしは、代わりの言葉を笑顔で紡ぐ。
「晴樹……行ってらっしゃい!」
「っ! ああ!」
晴樹は寂し気な色を残しつつも、力強い笑みをわたしに向けて「行ってきます!」と答えてくれた。
去って行く晴樹の背中が見えなくなってから、わたしは静かに涙をこぼす。
未来を信じても、やっぱり別れは辛いから……。
でも、心の中に冬の風はもう吹いてはいない。
晴樹が灯らせてくれた希望の光が、これから来る春の日差しのように思えた。
END


