総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。
「どうしたんだよ。裕翔」
真っ昼間の正午頃。俺は今、兄貴が一人暮らしをしている家に居る。そして、桜十葉もそこに居た───。
***
遡ること一時間前。
『兄貴、久しぶりに会いに行ってもいい?』
『は?何でだよ。お前、俺のこと嫌いだろ』
俺は兄貴に連絡をして、電話をかけた。俺の会いに行ってもいいか、というお願いに最もな返答が返ってくる。
『まあ、そうだけど……』
『否定しないのかよ』
『しねぇよ』
兄貴の苦笑交じりの声が電話口から聞こえてくる。
『何でわざわざ?今電話で話せねぇ?』
『ああ。ちゃんと顔見て言いたいことがあるから』
『分かった、来いよ』
『おう』
俺はそう言って電話を切る。本当は桜十葉も来るって伝えたほうが良かってんだろうけど驚かせたいしな……。
「桜十葉。行く準備は出来た?」
「うん!もう出来てるよ」
俺は桜十葉の首に白のマフラーを巻いてあげて、自分も巻く。ちなみに灰色のマフラーだ。
「ありがとう。裕翔くん」
そう言って、嬉しそうに微笑む桜十葉。
俺の彼女は、世界一可愛い。そして、世界一心優しい女の子だ。そんな子を自分のものに出来るなんてめちゃくちゃ嬉しい。