身代わり少女は主人を慕う
「はやて、表の庭から、部屋の中に入れる?」

「ああ、やってみる。」

はやては、窓から這いあがって屋根を伝い、表側の庭に飛んで来た。

私は、障子を開けると、急いではやてを中に入れた。

そして私は、昼間、亮成さんから貰ったお饅頭を、はやてに出した。

「いいのか?」

「うん、食べて。」

「ありがとう、うた。」

はやては、久しぶりの食事だったのか、お饅頭にかぶりついていた。

「それにしても、うた。綺麗な着物着てるな。」

「これ、お嬢様のモノなの。」

お饅頭を食べ終わったはやては、指をぺろりと舐めた。

「何でうたが、お嬢様をやってるんだ?」

「話せば、長くなるんだけど……」

そう言って私は、今までの事を、はやてに教えてあげた。

「大変だな、うた。」
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