星降る夜の奇跡をあなたと

これからも一緒に

4年後一緒に行こうと約束した
イルミネーションだが、今回は断念した。
サッと見に行って、サッと帰るくらいは
もしかしたら出来たかもしれない。
でもあの再会の日から3日間、蓮が
離してはくれなかった。私は丁度
実習がない週だったから良かったものの、
月曜日は蓮の家から学校に行く羽目に
なった。流石にマズいのでは?
と言ったが、蓮は
“私が戻ってきた時に、休んでも大丈夫な
様に調整したし、和奏もずっと
勉強してたから大丈夫だよね”と…。
それでも2月に国家試験を控えている蓮と
2週間毎に実習が続く私達はあの3日間で
お休みしてしまった時間を取り戻すべく、
勉強に励んだ。
一緒に過ごした1年に比べたら、
会える時間は大幅に減った。まぁ、一緒に
暮らしていたのだから当たり前なのだが。
それでも蓮にとって、私が戻ってからの4年間に比べたら何ともないそうだ。


蓮は、3月無事に国家試験の
合格を果たし、4月からは
附属の大学病院で研修医として働く。
私も1年後、国家試験に受かれば、
そこへ行く事になると思う。
“蓮と一緒に働きたい”それが私の
夢の一つとなったのは言うまでもない
だろう。

合格発表後から卒業式までの、
僅かな期間で、私達は旅行に来た。
もちろん、4年前と同じ場所だ。
以前は秋だったが、今回は春。
カラフルな花が咲き誇り、
辺りを彩っていた。
前回の時も、とても楽しかった。
とても幸せだった。でもやっぱり
寂しさと不安が入り混じっていた。
今はそんなマイナス要素は無く、
ただただ幸せだ。
旅行の帰り道、
“ちょっと寄り道していこう”と
連れてこられた場所は、
あたりいっぱい、花に囲まれた庭園で、
それらをたくさんのライトで
装飾されている所だった。

「イルミネーション、
 行けなかったからね」

「すっごい綺麗!よく知ってたね?」

「調べました」

照れくさそうに言う蓮をとても
愛しく思う。

「ありがとう」

こうやって、この先も色々な所に
行き、沢山の物を一緒に見ていきたい。
精一杯の感謝の気持ちを込めた。

「和奏、これからもずっと一緒に
 いような。愛してるよ」

ふわっと抱きしめられ、キスを落とす。

あの出来事が何故起こったのかなんて
分からない。ただ、そのことがあったから
私は蓮と出逢う事が出来た。
これから先も一緒に歩んでいく上で、
お互い忙しく、寂しく感じる時も
あるかもしれない。
喧嘩をすることもあるだろう。
でもあの時以上の辛いことなんて
きっとない筈だ。
あの事を乗り越えられたのなら、
他に乗り越えられないことはないと
信じたい。

「私も愛してる。これからも
 ずっとずーっと一緒にいようね」
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