拗らせLOVERS
Whiteday
碧斗に毎年バレンタインにチョコレートを贈っているのに、一度もお返しをもらった事がない


それって、私の事好きじゃないって事だよね

仲良くしてくれてるのは幼馴染だからで
恋愛対象にはならないって事だよね


女の子として意識してもらえてない

もはや兄弟?


確かに、そうかも

碧斗は、やたらにボディタッチが多い!

肩を組んできたり
頭ポンポンしたり
ほっぺをつねったり
鼻を摘まんできたり

あたしがどれだけドキドキしているか、わかってない! 

もはや、心臓発作で倒れそうなのに

アイツは平気で普通にしてくる


碧斗はドキドキなんてしないんだろうなあ

してたらあんな事出来ないはずだもん


不毛だ

不毛過ぎる

この恋は一生報われない気がする


それならいっそ私も『幼馴染』として割り切った方が楽かもしれない…



「どうした?難しい顔して」

隣を歩く碧斗が私の顔を覗きこんだ
 
「え?なんでもないよ」

中学の卒業式を前日に控える今年のホワイトデーも碧斗からは何も無かった

「碧斗さあ、バレンタインにチョコたくさんもらってるけどさあ、お返しあげないの?」


「欲しくて貰ってる訳じゃねえし、お礼も言ってるし、お返ししてたら俺の小遣いなくなる」
碧斗が面倒臭そうに言った


「確かに、義理も含めたらヤバイ数だよね」

「お前お返し欲しいの?」
碧斗が私の顔を覗きこんだ


「え?いや、そんな事は…」

「陽和なんか毎年義理チョコじゃん」

「そうだけど…」
本当は本命も本命!ド本命だよ!

言えないけど


「あ…」
碧斗が突然思い出したようにポケットをあさり出した



「あった!」
碧斗の手にはイチゴ味の棒付きキャンディが握られていた

「やる」

「え…」

「ホワイトデー」

「…ありがとう」

受け取って食べようと紙を剥がそうとした
が溶けてくっついていて、なかなか剥がせない


「ちょっと!これベタベタじゃん!」


「ずっとポケットに入れてた」


「えーー!ちょっとこれ食べれるの?」


「大丈夫」
碧斗がニコリと笑った


碧斗がホワイトデーにくれたアメだしなあ…

私は仕方なくベタベタの紙を剥がしパクリと口にほおりこんだ


「おいひー!」

「お前、ヨダレ!」


「らっへ、アフェおいひいから」


「何言ってか、わかんねえよ」
そう言ってケラケラ笑うと私の頭をクシャリとなでた


もう…

それ、それだよ!
諦めるなんてできないよ


ズルいよ、碧斗!

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