拗らせLOVERS
リビングにいた円が玄関へと向いドアを開けた

「はーい、あれ?碧斗くん」

「陽和、いる?」

「あ、ちょっと待ってて」


「お姉ちゃーん!碧斗くん来たよ~」
円が階段下から大きな声で叫んだ


ドタドタドタ!

階段から転げ落ちそうな勢いで、私は玄関にたどりついた


「ご、ごめん、おまたせ〜」

私は慌てて靴をはく

「何?お姉ちゃん達、出かけるの?」


「うん」

「どこ行くの?」

ん?

円の奴、一緒に来ようとしてる?

「ちょっとね」

「井上スポーツだよ」

碧斗!言わんでいい!


「えー!円も行きたい!」
ホラホラ、言わんこっちゃない!


「じゃあ、円もいっしょ…」
碧斗の言葉をさえぎるように

「円は塾があるでしょ!受験生なんだからしっかりしてよね!」

「え?ちょっとお姉ちゃ…」

私は碧斗を両手で玄関から追い出すと慌ててドアを閉めた

「いいの?円」


「いいの、いいの!アイツ本当頑張んないと志望校ヤバいんだから」


「円、何処受けんの?」


「うちらの高校だよ」


「じゃあ大丈夫だろ」


「イヤイヤ、碧斗は円の成績知らないから!」


「陽和より成績いいんだろ?」


「ちょっとだけね」


「じゃあ、大丈夫だろ」


「でも、今年はうちの高校倍率高いらしいよ」


「へえ…」


碧斗が突然私の顔をじっと見つめた


「え?な、何?何かついてる?」


「絆創膏…」


「出かけるのにカッコ悪いから取ってきた」


「まだ、貼っとけよ」


「え?やっぱ傷口見えるとブサイク?一緒に歩くの恥ずかしいよね?でも、絆創膏顔に貼ってお出かけっていうのもカッコ悪いかなって思って…」

「いや、そうじゃなくて、バイキン入ったら大変だろ!」

そう言ってポケットから財布を取り出し絆創膏を一枚取り出した


「え?碧斗いつも財布に絆創膏いれてんの?」


「まあね、わりと擦り傷耐えないからね俺」


「そっか…」

「いいから黙れ、傷口からズレるだろ!」

そう言って私の口元に絆創膏をペタリと貼った


「よし!」

「えー、なんか喋りづらいよ絆創膏邪魔で…」


「じゃあ、黙ってろ!」


何よ!せっかくのお出かけなのに! 


碧斗のバカバカバカ〜!!


私は碧斗を横目で睨んだ

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