*夜桜の約束* ―春―
「失礼致しました、お嬢様。天気がとても宜しかったので、ついおひさまの光を入れて差し上げたくなりまして……」
モモは足元の向こうから聞こえる女性の声に耳を傾けたが、さすがにその『お嬢様』が自分のこととは思えなかった。
「やっぱりまだ夢の中なんだ。こんなの現実じゃない……」
もう一度頭から布団を被った暗闇の中、目が潰れてしまいそうなほど瞼を閉じた。
数十秒後に再び開いて身を起こす。
すると先程遠目に見えた女性がすぐ右側に立っていて、モモは思わず驚きの声を上げてしまった。
「わっ!!」
「あら……また失礼してしまいましたね。お起きになられますか、明日葉お嬢様?」
「え……?」
──アスハ?
やっぱりこれは夢なんだと改めて思わずにはいられなかった。
明らかに彼女は自分に向かって『アスハ』と呼んだのだ。
あたしは『桃瀬』。──そう……よね?
モモは足元の向こうから聞こえる女性の声に耳を傾けたが、さすがにその『お嬢様』が自分のこととは思えなかった。
「やっぱりまだ夢の中なんだ。こんなの現実じゃない……」
もう一度頭から布団を被った暗闇の中、目が潰れてしまいそうなほど瞼を閉じた。
数十秒後に再び開いて身を起こす。
すると先程遠目に見えた女性がすぐ右側に立っていて、モモは思わず驚きの声を上げてしまった。
「わっ!!」
「あら……また失礼してしまいましたね。お起きになられますか、明日葉お嬢様?」
「え……?」
──アスハ?
やっぱりこれは夢なんだと改めて思わずにはいられなかった。
明らかに彼女は自分に向かって『アスハ』と呼んだのだ。
あたしは『桃瀬』。──そう……よね?