眠りにつくまで
私は夕方まで何もさせて貰えず、立ち上がろうとすればさっと抱き上げられ
「うん?どこ?トイレ?水?珈琲?」
幼児以下の気分だ。
「赤ちゃんみたい…」
珈琲を飲みながら言うと
「赤ちゃんの光里も可愛いね」
と訳のわからない返事が返ってくる。夕食の準備はしていいはずなので
「夕食作ってくる」
早めにキッチンへ行くことにした。
「ふっ…考えたね、光里」
またもや抱き上げた私の顔中にチュッ…チュッ…と唇を落としながらキッチンへ入った聖さんは冷蔵庫の前で私を下ろした。
「手伝う」
「お礼だから私が作るよ」
「じゃあ、任せた。楽しみにしてる」
今度は唇に軽くキスをして水を持ってキッチンを出た彼は、ここから見えるリビングのローテーブルにパソコンとタブレット、そしてスマホを並べた。その仕事をする彼を時々見ながら夕食を作るのだが…元々簡単なものだ。早くに作り始め、時間を持て余した結果がこれだ。
「作り過ぎたかも…」