眠りにつくまで






すぐに出て来たのは父親で、すぐ後ろに母親もいる。

「お休みの朝に突然申し訳ございません。三鷹聖と申します。少しお話をさせて頂けたらと思いますが、突然ですのでご都合が悪ければ出直します」

そう言い頭を下げた。

「ここは光里が?」
「昨日送って来たので。今日一人で来ることを決めていたので彼女に住所を聞くことなく知る手段です」
「ははっ…私達にそれを言ってもいいのかな?」
「今夜にはここへ来たことも伝えますから」
「どうぞ、入って下さい。車はそのままで大丈夫だから」

路駐にならないのか?いいと言うならいいのだろう。

「ありがとうございます。失礼します」
「応接間が一応はあるんだが使ってない部屋は寒いからね、リビングで悪いがどうぞ」

珈琲の香りがとマグカップが残るリビングに招き入れられ

「すぐにお茶入れますね」

と母親がマグカップを持った。

「ありがとうございます。でもお二人揃ってお話をさせて頂ける方がありがたいです。忙しなくて申し訳ないですが…」
「お母さんも座って話を聞こうか?休日の朝に、しかも昨日の今日で来られたわけがあるのだろう。三鷹さんとおっしゃったね?いきなり本題で構いませんよ」

父親に言われて母親が座ったのを見て

「ありがとうございます。昨日彼女は、好きな人がいることと付き合っていること…それだけをご両親に伝えた…そうですよね?」
「はい、それは光里に聞きました」
「それでお母さんのコロッケを美味しく食べた…」
「ええ」
「彼女…今は食事が出来ていますが2ヶ月前は出来ていませんでした」
「…どういうことですか?」
「言葉通り食べられなかったんです。きっと彼女は何も言わないつもりでしょうが、ご両親との電話の様子でご両親の思いも私は感じたのでお伝えしようと思って来ました。それでどうこうして頂くことはない。でも大切な娘の数年間…気になると思うんです。私も大切に思う彼女のことをご両親にはお伝えしようと思います」

今日の目的を率直に伝えた。
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