眠りにつくまで







「聖さん…いいの?」

シートベルトをしながら光里が遠慮がちに聞く。

「私も乗り継いで来ていたから…寒い中大変なことはわかるんだけど…」
「そうだよね、寒い中のバス待ちは大変だよね。光里は5年も暑い日も寒い日も雨の日も風の日もよく続けてお参り出来たね」

チュッっと冷たい頬にキスを落として車をフルで暖める。彼女の冷たくなった指先を握り、擦りながら

「俺はもうこの瞬間から光里と二人でデートしたいんだ。男であれ女であれ邪魔者はいらない」

そう言い指先に唇を落とした。

「どういうコースにしようか?昼飯を食べてスーパーにする?」

俺もシートベルトをしながら光里に聞くと

「お昼、聖さんのチャーハンがいいな…出来れば…」
「光里のリクエストならいつでも出来る。スーパーに行って帰ろうか」
「ありがとう」
「昼は光里のリクエストで夜は俺のリクエスト」
「仲良しだね」
「間違いないな。ずっと毎日デートだ」

と車を動かし始める。すぐに倉田さんの娘の横を通り過ぎる時には大袈裟に頭を下げておいた。倉田さんには感謝してもしきれないが娘なんてどうでもいい。寒い思いをしようが俺には興味も関係もない。
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