眠りにつくまで






「明日は光里の最後の出勤だから外食しよう。何が食べたい?」
「平日で聖さんは明後日も仕事だよ?」
「問題ない。5年間お疲れさまってどこかで乾杯しよう。光里の食べたいものを食べて」

食べたいもの…何かなぁ…

「前に連れて行ってもらった天ぷらがいいな」
「よし決まり、食事が終わったら予約する。タクシーで行こうな。飲むに決まってる」
「ありがとう、聖さん」
「奥さんを労るのは俺の特権。毎日楽しくて仕方ないよ」

そう言い、もう少し炊き込みご飯をおかわりした彼は

「でもなぁ…来月ハワイ出張が入るかもしれないんだよ。1年前にも行ってたんだけど…その時は3ヶ月ほど。でも今回は1週間と考えてる」

と申し訳なさそうに言った。

「仕事だもの、頑張って…3ヶ月のものが1週間にできるの?」
「いや、去年は着手した年だったから長かったけど、今年は確認と調整に行くだけだからトラブルがなければ1週間。光里を連れて行きたいけど1週間で終わらせるためにスケジュールを詰めるから今回は無理だ…ごめん」
「普通は出張について行かないでしょ?それに私も転職したばかりで休めないよ」
「忍に言えばいいだけだから休みは取れるよ」
「1年目の有給なんてそんなにないよ?」

私はそう言いながら勤務時間や休みについてきちんと決めておかないとだらだらと役立たずに終わってしまいそうだと心配になった。
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