我が身可愛い大人たち

 雅巳が次に目を覚ました時、そこはゴミ袋の上ではなかった。見慣れない天井は淡いピンク色で、まだ夢の中かと一度目を閉じる。

 しかし、どうやら夢ではなさそうだった。

(ここはどこだ……?)

 上半身を起こすと、ズキッと頭が痛む。顔をしかめて横を向いた瞬間、隣ですやすやと眠る女の顔が目に入った。

 布団から出た肩は素肌である。そしてさっきから不思議に思っていたが、自分も裸であった。

「は……?」

 思わず声に出して呟いた瞬間、女がゆっくり瞬きをして目を覚ます。

 大きな猫目に、緩く波打つロングヘア。彼女は「ふわぁ」と気の抜けたあくびをすると、呆然としたままの雅巳の頬にチュッとキスをした。

「おはようございます。……梓沢って人じゃなくてごめんね?」

 雅巳はその発言の意味をとっさに理解し、青ざめる。

 断片的にだが、昨夜美鳥と甘い夜を過ごしたような記憶があるのだ。しかし、相手は美鳥ではありえない。

「まさか、俺は昨夜きみを……?」
「かなり酔っぱらってたから覚えてないんですね。そうですよ。『梓沢、梓沢』って何度も呼んでました。私のことめちゃくちゃに抱きながら」

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