Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「綺月」


母が私の名前を呼ぶ。

勉強面でのことしか、母は私の名前を呼ばない。


「先週塾の模擬テストがあったわよね」


そんなのあったっけ…

分かんない、覚えてない。

結果はどうだった?ダメだった?

思い出せない。


「あなた、本当に勉強してるの?」


────え?


「どうして、こんなに点数が悪いの?」


突きつけられたテストの点数が、歪んでぼやけて上手く見えない。

息もしづらい。苦しい。
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