Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「カオル──────────!!!!」


"カオルの名前を呼んでくれ"

カオルの名前を呼ぶだけでいいと言っていたが、私はむしろ今この状況でカオルの名前を呼ぶことしか思いつかなかった。

お願い、届いて。

こっちを見て。

私の願いが届いたように、カオルは動きを止める。


「…止まった…?」


幸人がそう言葉を漏らす。

その瞬間、ゆっくりとカオルが私の方を見る。

その目があの時みたいに酷く怯えていて、助けて欲しいと言われているような気がした。

あの日カオルが消える前にも、こうして私を見ていた。

あの時は見ている気がする、でカオルに声をかけなかったが、あの時助けて欲しいと願っていたのだと今になって気付く。

ごめんね、カオル。

すぐに気付いてあげられなくてごめん。
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