Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「全部、ちゃんとするから」


私は息をするのも忘れるくらい、頭が真っ白になって思考が停止する。

だけど、カオルの声ははっきりと私の耳に届いている。


「奈都ともちゃんと話をするし、女関係も全部切るし、仕事は生活があるからすぐには辞められねぇけど、いずれはちゃんとした仕事見つけるから」


私の肩に頭を預けたまま、絞り出すような声で私にすがろうとする。

この体勢では、カオルの表情が分からない。

もしかしたら自分の都合の良い耳になっているのかもしれない。

自分の耳すらも疑いはじめて、もう内心頭はパニックだ。

だけど、カオルは確かに言う。


「だから、俺の女にならねぇか?」


カオルに聞こえてるんじゃないかと思うくらい、心臓が今までで一番速く大きく脈打っている。

だって、ずっとカオルは私を選ばないと思っていたから。

いつもカオルの周りにいる女性は、綺麗に自分を着飾っていて、自分に余裕があって、カオルを横に置いて堂々としているような人達ばかりだった。

でも私は、家出少女で、勉強しか出来なくて、男の人と付き合ったことも無いし、色気も皆無。

カオルには釣り合っていない。

だから、この気持ちもカオルに伝えるつもりは無かったし、この先離れることになっても私だけはカオルと奈都の味方でいる決心もついていた。

だから、今心底驚いていて、言葉がすっと出てこない。
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