Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「何回聞くんだよ」

「だって、前よりも肉体労働増えたし、私が渡したお金使ってる?」


私は月に一度母から貰っている生活費を全てカオルに渡している。

でも、カオルがそのお金に手を付けている様子は全く無い。


「そんなに心配ならもっと俺に構えよ」


カオルは起き上がると、今度は首に腕を回して後ろから抱き寄せる。

私から香る同じ匂いがカオルの髪からも香ってきて、無性にむず痒くなる。

カオルのいじけた声に、少し申し訳なさを感じて抵抗していた力を弱めると、すぐに首元に唇の感触が伝わってくる。

カオルがわざとらしくリップ音を大きめに鳴らしながら数箇所私の首元に口付けていく。

くすぐったくて肩が跳ね、無様に声も漏れる。


「綺月」


カオルに名前を呼ばれ振り返ると、今度は唇にキスをされる。

カオルに何度キスをされても、全く慣れない。

いつも私はしがみつくようにカオルの服をギュッと握り、必死についていく。

付き合い初めて知ったけど、カオルは物凄くキスが長い。

一度スイッチが入ると、私がギブだと体を叩くまで止めない。
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