Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「綺月、口開けろ」


まだ唇に若干触れた状態でカオルは言うが、私は左右に首を振る。

もうこれ以上は持たない。

だけど、スイッチが完全に入ったカオルが止まるはずも無く、私の顎を親指で引くと、力が完全に抜け切っている私の口が簡単に開いた。

慌てて閉じようとするが、カオルの舌が先に入る。


「…待っ…んっ」


長いキスが、深いキスに変わり、カオルから逃げるように私はどんどん後ろへと倒れていく。

私は床に手を付いてなんとか倒れないように支えるが、ついに肘がガクンと折れ、そのままカオルが私に覆い被さるような形で床に倒れる。


「…カオル、頭おかしくなる」


真っ赤になった顔を両手で隠しながら私が切実に訴える。

そこでやっとカオルが我に返り、私の頭を撫でる。
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