Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
私はその人には多分敵わない、ユキも一生その人を手放したりしない。


「いつもごめん、ユキ」

「何が?」

「ふふっ、相変わらず優男だね」


優しい男が、ヤリチンカオルよりもヒモカイよりもタチが悪い。

私は氷で薄まったオレンジジュースを一気に飲み干した。

その後、店を出て私たちは溜まり場に戻ると、ソファーにだらしなく座っているカイが最初に目に入る。


「なんか干からびてるんだけど」


カイを指さしながら近くでバイク雑誌を見てるせっきに声をかける。


「美月さんが最近来ないから元気無いんだよ」

「あー、本当好きね美月さんのこと」

「お前嫌いなのか?」

「好きに決まってんでしょ、カイの好きは重いのよ」


カイは「重いってなんだよ」とまたつまんなそうに高い天井を見つめる。
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