【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「っどけ!」
『えぇっ?!ちょ、』
ぶつかる寸前、私は身体をひょいっと大きく一歩横へ滑らせて避けた。
すると男の子はそのままの勢いで着地に失敗し、猛スピードで壁へと激突。
──ドンッ!!
重たい打撃音が踊り場に響き渡り、彼はその場に豪快に尻もちをついて、頭を抱えてうずくまった。
「っってぇ…!」
男の子は頭を抱えながらその場に座り込む。
『あ、あの…大丈夫ですか?!』
「どう見ても大丈夫なわけねーだろ!」
ぐわっと頭を上げて怒鳴られ、私は思わず肩をビクッとすくめた。
やばい、この人めちゃくちゃブチ切れている……!
……ん?
……いや、待って?これ、私一切悪くないよね!?
そもそも階段の手すりを乗り越えて飛び降りるなんて、あまりにも危険すぎる奇行に走ったあっちが絶対に悪い……!
『か、階段は…普通に歩いた方がいいと思いますよ…?』
「あ?」
地獄の底から響くような冷たい視線で射抜かれ、思わず息をのむ。
……なんだろう、この刺すような棘のある空気感。
どこか出会った初期の頃の叶兎くんを思い出させる。