【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
──コンコンコン。
「誰?」
すぐに部屋の中から声が返ってきた。
どうやらまだ起きていたみたいで、胸を撫で下ろす。
『胡桃です。ちょっといいかな?』
「…入っていいよ、開いてるから」
開いてるの…?!
いくら男子寮の中とはいえ、鍵を開けっぱなしなんてちょっと物騒では……?と思いつつ、起きていてくれたという安心感を抱きながらそっとドアノブを回して部屋の中に入った。
「珍しいね、こんな時間に来るなんて」
ベッドから上を起こした叶兎くんは、ベッドの端に腰掛けたままこちらをじっと見つめていた。
普段の制服姿とは違う、少し崩した部屋着姿が不意に大人びて見えて、胸がドキンと跳ねる。
『ご、ごめん、こんな夜遅くに』
ノックした後すぐに返事があったけど布団に入ってたってことはもしかして起こしちゃったかな。
今の時間はちょうど深夜24時を過ぎた所。
もし邪魔をしてしまったのなら、ものすごく申し訳ないことをしてしまったかもしれない。
「何か困ったことでもあった?………それとも、夜這いでもしにきたの?」
『夜っ…?!ち、違うからっ!』
「あはは、俺は歓迎するけどね?」
も、もう…。
いつも通り軽口を叩く叶兎くんに、心臓がばくばく跳ねてしまう。
夜這いて…私まだそんな心の準備できてないし………
って何考えてんの私!!
叶兎くんが変なことを言うからだ。
そんなつもりで来たわけじゃないのに変に緊張してドキドキしてしまい、私は彼から大きく距離を空けて、ベッドの端っこにちょこんと座った。