総長は、甘くて危険な吸血鬼




「……何でそんなに離れてんの?」


そう言うことは口に出さなくていいんだよ叶兎くん。君のせいだよ。


『かっ、叶兎くんが変なこと言うから…!』


と言った途端、わざわざ距離をとったのに叶兎くんはゆっくりとこちらに身体を寄せてきた。
ベッドのスプリングが沈む音が小さく響く。


「ふーん、意識してるんだ?」


なんて、楽しそうにそう言った。


『…だって、好きな人と2人でいたら、意識しちゃうよ』

「……。」


一瞬、空気が止まった。

自分でも驚くくらい素直に言葉が出てしまって、後から恥ずかしさに押し潰されそうになる。


『あの……何か言って…』


数秒経っても返事がなく恐る恐る顔を上げると…

叶兎くんは片手で顔を覆い、視線を逸らしていた。


『叶兎くん何してるの?』

「いや、ちょっと…可愛さを噛み締めてる」

『な、何それっ?!』

「…それで、本当は用事があったんでしょ?」


強引に話を区切るように話題を変えた叶兎くん、
私も目的を忘れる所だった。

深呼吸して心臓を落ち着かせてから、言葉を続ける。


『そうだった!あのね、私のケータイなんだけど…』

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