【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
布団を綺麗に畳みなおしてから部屋を出ると、丁度ドアを開けたところで天音くんと鉢合わせた。
「あ、胡桃っちおは〜」
『お…おはよう天音くん』
私が叶兎くんの部屋から普通に出てきたことについては何も突っ込んでこなくて心底ほっとしたけど……。
……無言ということは逆に確信を持って誤解されているのでは……!?
「ね、今暇?」
私の動揺なんてお構いなしに、天音くんはそう言って無邪気に笑って顔を覗き込んでくる。
相変わらず、何を考えているのか全くわからない。
『暇…ではあるけど、どうして?』
朝もまだ早い時間だから、登校まではかなり余裕がある。
暇と言えば暇だけど……。
“ちょっと付き合ってよ、話し相手”
そう言われ、よく分からないまま天音くんに連れ出されたのは、寮の屋上ベランダだった。
寮の中にこんな景色の良いベランダがあったなんて知らなかった。
広々としたスペースにはおしゃれなテーブルと椅子まで設置されていて、この学園の寮の豪華さには改めて驚かされる。
『ちょっと待って。天音くんそれ…』
隣にいた天音くんがベランダの手すりに寄りかかりながらいきなりライターを取り出して、たばこに火をつけようとしていたので思わず天音くんの腕を掴んだ。
「あ、煙は出ないやつだから大丈夫だよ」
さも当然かのように言うから、一瞬納得しそうになった。
そういう問題じゃなくて!そこも大事ではあるんだけど、違くて!
生徒会がバリバリに不良行為してて大丈夫なのか…
いや、大丈夫ではないな。