【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ


「え」

『あ』



部屋に入るや否や、春流くんと私の視線がバッチリと交差した。

その瞬間、春流くんの動きがピタリと停止する。


その理由を理解するのに、1秒もかからなかった。


今の状況を第三者の客観的な視点から見れば──“朝、男の子の部屋のベッドで寝ている女子”という、あまりにもアウトな構図そのものだ。



「うわ、不純!生徒会長も隅におけないな〜」



春流くんは一瞬でニヤニヤとした楽しそうな顔になり、叶兎くんに絡みに行った。



「誤解だ、何もしてねーよ」



叶兎くんもあまりの動揺に、普段の冷静さを失って口調が崩れてしまっている。


春流くんってパッと見は王子様系の王道イケメンというイメージだけど、こういうところを見ると二人とも普通の男子高校生らしくて……素の顔を見られている感じがして、ちょっとだけ嬉しかったりする。



『ほ、ホントに春流くんが思ってるような事じゃないから!雷すごくて寝れなかっただけだからっ!』

「そう、ただの誤解。校長が呼んでるんだろ、今行くからお前はさっさと部屋から出ろ!」

「はいはい、ロビーで待ってるね〜」



叶兎くんに無理やり押し出されるように春流くんは部屋から出て行った。


絶対誤解されたままな気がする…。

まあ確かに、昨日何もなかった訳じゃないけど…。



……叶兎くんも、そういう事考えるのかな。


………って待て待て、何を考えているんだ私は。



「じゃ胡桃、俺はもう出るけど、何かあったら連絡して」

『あ、うん。いってらっしゃい』



叶兎くんは私の元へ歩み寄ると、おでこにそっと触れるだけの優しいキスを落とした。



「なんか新婚夫婦みたいでいいね、これ」



なんて言い残して、颯爽と部屋を出て行く。



………っっ!!



私は時差でぶわっと顔が熱くなって、もう一度布団を被った。







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