【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「妹は我儘だし弟は生意気だけど、何だかんだ甘やかしちゃうんだよねー。」
天音くんの兄妹って考えると、何だか少し想像がつく
そうやって話してる天音くんの表情は、1人の兄としての顔だった。
叶兎くんは妹いるし…アジトで話した流風くんも弟がいるって言ってたな…
「でも…俺はあいつらの事を守ってやれなかった」
『“守ってやれなかった”…?』
どういう事だろう、守る…?
遠くの朝空を寂しげに見つめながら、天音くんはぽつりと呟いた。
“どういうこと?”
そう聞き返そうとしたけど。
「なんて、今更考えても遅いんだけどね。……そろそろ戻ろっか」
そう言ってパッといつもの軽い笑みを浮かべ、椅子から立ち上がった天音くんに、言葉を遮られてしまった。
ものすごく気になるけど……きっとこれ以上は触れられたくない過去なのかもしれない。
だから私は、それ以上追求するのをやめた。
「盗み聞きとは感心しないなー、“秋斗くん”」
ベランダのガラス扉を開けたところで、天音くんがふと立ち止まり、声を低くした。
扉のすぐ向こうには九条くんが立っていて、鋭い瞳で天音くんを若干睨みつけている。
「朝飯、出来たから呼びに来ただけだが?」
「それはどうも。じゃ、失礼。胡桃ちゃん付き合ってくれてありがとーね」
ピリピリとした険悪な空気を漂わせながら、天音くんはひらひらと手を振って先に室内へと戻っていった。
何だろう……この二人って、もしかして仲が悪い……?